源氏物語絵巻 桐壺<br />三巻の内

源氏物語絵巻 桐壺
三巻の内
げんじものがたりえまき きりつぼ

 「幻の源氏物語絵巻」として話題になった作品です。本作品は、『源氏物語』のうち第一帖にあたる「桐壺」を、物語全文を一切省略せず、3巻15場面に構成した絵巻です。詞書は、前関白九条幸家(ゆきいえ・1586~1665)・幸家の息子で二条家の養子となった二条康道(やすみち・1607~66)らが染筆しています。下巻奥書によって、明暦元年(1655)に、この「桐壺」が完成したと知られます。
 場面はその中巻。源氏が3歳になった夏に、源氏の母、桐壺更衣は病にかかり亡くなります。秋になり、野分(のわき)めいた風が肌寒さを感じさせる夕暮れ、悲しみ募る帝は、靫負命婦(ゆげいのみょうぶ)を召し、桐壺更衣の実家にその母君の見舞いに遣わします。母君の邸の寝殿正面に牛車を引き入れた命婦は、庭の生い茂った八重葎(やえむぐら)に月の光が差し込む中、子を失った悲しさに沈む邸の佇まいにしみじみとした情感を感じます。

【江戸時代 明暦元年 <1655> 個人蔵】