徳川美術館 English Korea/China
企画展案内 / Exhibition

平成23年(2011年) 企画展 / Exhibition

平成23年9月23日(祝・金)〜11月6日(日)【春季特別展】宮廷の雅-有栖川宮家から高松宮家へ-

企画展の詳しい解説

 今日宮廷文化といいますと、源氏物語や百人一首といった古典文学や、いわゆる十二単や束帯などの装束、あるいは貴族の遊びであった雅楽や蹴鞠などが思い浮かびます。これらは平安時代から鎌倉時代の宮廷で形づくられ、その後も宮廷に伝えられ続けてきた文化です。いずれも、平安時代から全く形を変えずに伝えられてきたわけではありませんが、当時の貴族たちが中国の文化を消化したうえに築き上げてきた和様の美や雅びの美意識に支えられ、現在にまで脈々と生き続けています。そして、これらの宮廷文化を伝えてきたのが歴代天皇や皇族、宮廷に仕えてきた公家たちでした。江戸時代の皇族・有栖川宮家の歴代もまた、宮廷文化を伝える役割を担っていました。

 有栖川宮家は寛永2年(1625)に、後陽成天皇の第7皇子・好仁親王を初代とする皇族の家で、当初は高松宮家と称しました。その後高松宮家から有栖川宮家へと改称し、大正時代の10代威仁親王まで続きました。威仁親王の薨去後は、大正天皇が第3皇子の宣仁親王に高松宮家を創立させ、有栖川宮家の祭祀を嗣ぐよう下命しました。宣仁親王は、兄の秩父宮・弟の三笠宮とともに、兄・昭和天皇を支えて激動の昭和の時代に活躍しました。

 有栖川宮家は、和歌と書道を家の学問(家学)として伝え、代々の当主が励みました。和歌は、後水尾天皇以降代々の天皇が励んだため、江戸時代を通じて宮廷を挙げて和歌が盛んに詠まれました。有栖川宮家では、本展覧会に出陳される伏見天皇宸筆「和漢朗詠集」(重文 国立歴史民俗博物館蔵)をはじめとする歴代天皇の宸筆を所蔵したほか、数多くの典籍の写本(高松宮家伝来禁裏本 国立歴史民俗博物館蔵)を伝えました。これらは宮廷の和歌修学熱の産物で、とりわけ後西天皇が御所の相次ぐ火災を嘆き、古典籍の複本製作をはじめたのが始まりです。書道は、5代職仁親王が父・霊元天皇から伝授された書風をもとに工夫を重ね、後に有栖川流と呼ばれる書道の流儀が誕生しました。本展でも、名手として知られた8代幟仁親王をはじめとする個性的な歴代の筆跡がならびます。

 本展覧会では、有栖川宮家や高松宮家に伝えられた絵画や書跡、刀剣や調度などの工芸品、歴代親王が着用した装束などの御遺愛品、本展覧会で初公開される高松宮家旧蔵「修学院図屏風」(個人蔵)など、後水尾天皇が譲位後に営まれた修学院離宮ゆかりの作品、また近代以降の高松宮宣仁親王・喜久子妃の御遺品など、重要文化財8件を含む約190件を一堂に展示し、宮家の文化活動を紹介します。展覧会を通じ、江戸時代以降の宮廷文化の歴史と伝統を再認識していただく機会となれば幸いです。

【学芸員 並木昌史】

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