初音蒔絵歯黒箱

国宝

初音蒔絵歯黒箱 はつねまきえはぐろばこ

歯黒箱はお歯黒をつける際に用いる道具を収納する、方形二段重ねの箱である。通常の内容品は、歯黒の原料である鉄漿(かね)を熱するための小型の薬缶「歯黒次(はぐろつぎ)」、熱した鉄漿を注ぎ入れる「潼子(じょうず)」、もう一方の原料である附子粉(ふしのこ)(五倍子粉)を入れる「附子箱(ふしばこ)」、歯に塗る際に用いる「歯黒筆」などだが、本品は潼子二口のみ現存する。潼子は必ず金属で作られるが、金銅製や真鍮(しんちゅう)製が多いなか、本品はいずれも銀製である。松竹鶴亀を組み合わせて長寿を意味する蓬萊文が、葵紋とともに彫りあらわされている。

【江戸時代 寛永16年<1639>】

霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
歯黒箱: 高12.3 縦13.6 横11.7

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