金箔置黒糸威具足

金箔置黒糸威具足 きんぱくおきくろいとおどしぐそく

当世具足(とうせいぐそく)の胴に大袖(おおそで)を付けるなど、完全な大鎧(おおよろい)形式にはなっていないが、江戸時代中期以降に盛んに製作された復古調鎧の一種である。小札(こざね)・草摺(くさずり)・兜の錣(しころ)を金箔置きとし、小手(こて)の手先筒には蒔絵(まきえ)で龍を施すなど、尾張徳川家の御曹司(おんぞうし)が使用するに相応しい作りとなっている。佩楯(はいだて)と脛当(すねあて)は伝存していない。江戸の名工・明珍宗介(みょうちんむねすけ)(1642~1726)による享保7年(1722)の極書(きわめがき)によれば、附属する二十六間筋兜(にじゅうろっけんすじかぶと)は、南北朝期の名工・明珍宗政(むねまさ)の作とする。

【松平勝長(尾張家8代宗勝6男)所用 江戸時代 18世紀】