達磨・政黄牛・郁山主図

達磨・政黄牛・郁山主図 だるま・せいおうぎゅう・いくさんしゅず

名物
 中幅は達磨が梁(りょう)の武帝のもとを去って魏に向かった際、芦の葉に乗って河を渡ったという故事を描く。右幅は驢馬(ろば)から転落した瞬間大悟(たいご)したという仁郁(じんいく)禅師(郁山主図)、左幅は黄牛に跨り市中を徘徊したという北宋の惟政(いせい)禅師(政黄牛図)を画題とする。各幅に3代将軍足利義満の鑑蔵印である「道有」印が捺され、三幅一対の東山御物として伝来したが、中幅と左右幅で手が異なり、日本で異種配合されたと推測される。
 本品は無準師範(ぶしゅんしばん)(1178~1249)の自画自賛の作として珍重されてきた。無準は、南宋五山の主位を占めた径山万寿寺(きんざんまんじゅじ)の禅僧で、日本の留学僧も多く参禅し、日本の禅宗興隆に大きな影響を与えた。
 成瀬正虎(成瀬家2代)・徳川光友(尾張家2代)所用。

【重要美術品 中国・南宋時代 13世紀】