白地霰に菊折枝文唐織

白地霰に菊折枝文唐織 しろじあられにきくおりえだもんからおり

唐織は、能装束を代表する最も絢爛豪華(けんらんごうか)な装束で、主に女役の表着(うわぎ)に使用される。生経生緯(きだてきぬき)の地に、文様は数色に染めた練糸(ねりいと)を浮き織りにし、時に金銀糸を交えて華やかさをあらわした厚地の織物である。一見すると刺繡のように見えるが、多色づかいの織物である。紅色の入った装束を紅入(いろいり)と呼んで若い女役に用い、紅色を加えない装束を紅無(いろなし)と呼んで中年以上の役柄に用いる。色糸で菊折枝文をあしらった白地の霰(あられ)文を地文としたこの唐織は、華やかさとともに清々しさが感じられる。

【江戸時代 19世紀】