志野竹の子文筒茶碗<br />歌銘 玉川

志野竹の子文筒茶碗
歌銘 玉川
しのたけのこもんつつちゃわん
うためい たまがわ

柔らかい志野独特の釉の中に、竹の子が幻想的に浮かび上がった端正な作行きの茶碗である。もとは向付(むこうづけ)として作られたが、茶碗に転用された。「玉川」は、小堀遠州の第三子である小堀権十郎政尹(まさただ)(篷雪(ほうせつ)/1625~94)による。箱蓋裏には権十郎が『新古今和歌集』所収の能因法師の和歌「ゆふされは 塩風こえて みちのくの 野田の玉川 ちとりなくなり」を記している。
陶芸家の荒川豊蔵(1894~1985)が、同様の竹の子文の陶片を美濃大萱(おおがや/岐阜県可児市)の窯跡で発見し、「志野焼」の産地が再考されるきっかけとなった。

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【桃山時代 16-17世紀 関戸家伝来 岡谷家寄贈】