西行物語絵巻

重要文化財

西行物語絵巻 さいぎょうものがたりえまき

 詠歌と漂泊の生涯を送った歌聖・西行(1118~90)の物語を描き出した絵巻です。本巻は、西行が出家の際、煩悩(ぼんのう)の絆を断ち切ろうと幼い娘を縁から蹴落(けお)とす衝撃の場面を取り上げ、出家する西行の決意と行動を見事に描き出しています。精緻な建築描写と軽快な筆致で表された均整のとれた人物表現、温雅な土坡(どは)の描法など、正統的なやまと絵の伝統を受け継ぐ一方、側筆・直筆を自在に使いこなした描法には新様がうかがえます。

【鎌倉時代 13世紀 重要文化財】