源氏物語 三条西家本<br />五十六冊の内

源氏物語 三条西家本
五十六冊の内
げんじものがたり さんじょうにしけぼん

附 桐蒔絵重箱型本箱
 紫式部によって著された『源氏物語』は、今からおよそ1000年前の平安時代に成立しました。『源氏物語』は、その成立以降現在にいたるまで、わが国を代表する古典として読み継がれ語り継がれてきました。登場人物はおよそ500人、四代の天皇にわたる約70年におよぶ『源氏物語』は、四季の移ろいや行事を縱糸として、恋愛や別離・哀惜、悦びや哀しみ、怒りなど、人間のいとなみが織りなされています、それゆえに本居宣長が「この物語、物の哀れを知るより外なし」と評したのでしょう。
 この『源氏物語』は、いくぶん小さめの升形本(ますがたぼん)の一揃で、第54帖「夢の浮橋」の巻末に、堯空(ぎょうくう)(三条西実隆(さんじょうにしさねたか・1455~1537)の奥書(おくがき)があり、天文2年(1533)6月に、実隆の孫にあたる実世(さねよ)(実枝(さねき・1511~79)が家人たちの手を借りて書写を完成させたと知られます。

【室町時代 天文2年<1533> 名古屋市蓬左文庫蔵】