其姿紫の写絵

其姿紫の写絵 そのすがたむらさきのうつしえ

文政12年(1829)に初編が刊行された柳亭種彦(りゅうていたねひこ)作の『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』は『源氏物語』を草双紙式に翻案した長編作品で、爆発的な人気を呼びました。着想の面白さに加え、挿図を担当した歌川国貞(3代豊国・1786~1864)の画が人気を呼び、広く浸透ました。『偐紫田舎源氏』が人気を博したのに伴い、歌川国貞はその挿絵をもとに、数多くのさまざまな源氏絵を生みだしました。本作品は、『源氏物語』54帖に因む54枚の源氏絵で構成されており、そのうち大半は『偐紫田舎源氏』の挿絵に変化を加えた図様です。

【歌川国貞(3代豊国)画 江戸時代 嘉永5年(1852) 徳川美術館蔵】