和歌<br />貞心尼に代てよめる<br /><small>良寛筆</small>

和歌
貞心尼に代てよめる
良寛筆
わか
ていしんににかわりてよめる

長岡藩士の次女として生まれ、柏崎の閻王寺(えんのうじ)で出家し、尼僧となった貞心尼(ていしんに)が初めて良寛に対面できたのは、文政10年(1827)7月から8月頃で、熱心に仏道について教えを受けています。良寛70歳、貞心尼30歳でした。以来往来すること4年、二人はうるわしい交流をつづけます。この歌は、同11年春、良寛が貞心尼の歌に「秋萩の花咲く頃は来てみませ命またくば共にかざさむ」と応じたところ、その年の夏、貞心尼が秋を待ちきれずに訪ねてきました。その時、貞心尼の歌を土台として、良寛が私ならこのように詠むと手ほどきしたのがこの歌で、美しい書です。

【文政11年(1828) 個人蔵(展示期間:2019年11月16日~12月15日)】