書簡 およしさ宛<br />ぬのこ一<br /><small>良寛筆</small>

書簡 およしさ宛
ぬのこ一
良寛筆
しょかん およしさあて
ぬのこひとつ

名の「およしさ」は、与板の酒屋・山田杜皐(とこう)の妻「およせ」のことです。およせは、元気がよい人で、良寛ともからかい合ったりする仲でした。いつも夕方に訪れることから「螢(ほたる)」という綽名(あだな)をおよせにつけられたといわれています。「こ金(がね)の水をたれかたまはむ」とあるのは、良寛はおよせから酒(黄金の水)を飲ませてもらうことを楽しみにしていましたが、寒くなり訪れることも稀になったので、このような戯歌を贈ったのでしょう。

【江戸時代 19世紀 個人蔵】