源氏物語絵巻 宿木(三) 絵<br /><small>現状模写(東京藝術大学本)</small>

源氏物語絵巻 宿木(三) 絵
現状模写(東京藝術大学本)
げんじものがたりえまき やどりぎ

互いに愛し合うがゆえに揺れ動く男女の微妙な心理を表現することに重きが置かれ、大きく斜めに傾いた建物は、二人の心理と連動するかのように不安定です。風になびく草花に誘われ、右に目を転じると御簾(みす)がふわりと揺れ、左から右へと吹き抜けていく秋風を感じ取ることができます。和歌に詠まれた「飽き」を示す秋風が二人の間のすれ違いをあらわしています。

【上野直美筆  平成22年<2010>】