金土俵空穂

金土俵空穂 きんどひょううつぼ

「空穂(うつぼ)」は「靭」とも書き、中に矢を収めて腰や背に負う用具である。下方の蓋を開けて矢を出し入れする。姿が麦の穂に似ているため中空の穂すなわち空穂の名が生まれたという。全面漆塗りで蒔絵を施した塗(ぬり)空穂や、巨大な竹籠編みに金箔を貼ったり熊毛を植えたりした土俵(どひょう)空穂なども多く作られた。
本品は弓の名手・朝岡平兵衛重政(1581~1663)の所用で、関ヶ原合戦の時に徳川家康が軍功を賞して「天下一人」と蓋に墨で書いたと伝えられる。但し、本品は尾張徳川家の伝来ではなく、昭和10年(1935)に寄贈された品である。

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【桃山~江戸時代 16-17世紀】