第86回 定期研究発表会|記録に残された尾張徳川家の「祝儀能」
2025.06.07 (土)2025.06.07 (土)

徳川美術館の学芸員が、日頃の研究成果を発表する定期研究発表会を実施いたします。
題目:記録に残された尾張徳川家の「祝儀能」
講師:徳川美術館 学芸部マネージャー 並木昌史
イベントの場所:美術館内 講堂
イベント実施日:6月7日(土)
イベントの時間:13時30分~15時(開場:13時)
イベントの料金:聴講無料(入館料別途要)
内容:
室町時代の観阿弥・世阿弥親子によって大成された能楽が、その後も長きにわたって受け継がれたのは、室町幕府や江戸幕府が儀式の際に上演する芸能「式楽」として保護したことが理由に挙げられます。江戸時代の尾張徳川家でも徳川将軍家にならい、年中行事やさまざまな儀式の際には能を上演し、祝いの席に花を添えました。法政大学能楽研究所蔵『御用留』は、シテ方金春家の分家に生まれた金春八左衛門安住(1761~1830)が天明2年(1782)から同4年までの間に務めた、尾張徳川家での御用を書き留めた記録です。この中には、尾張徳川家9代宗睦(1732~99)の官位昇進を祝う祝儀能の記録が収められています。安住は、祝儀能初日の冒頭に行われた「翁」で太夫の大役を担い、この日の詳細な記録を残しました。今回の発表では、大名家における式楽の有り様を、この記録から紐解いて見たいと思います。