梨子地秋の野蒔絵手箱

梨子地秋の野蒔絵手箱 なしじあきののまきえてばこ

蓋表には流れを挟んで、萩・藤袴(ふじばかま)・桔梗(ききょう)・芒(すすき)の秋草と一番(ひとつが)いの鹿を、空には飛び交う小鳥たちを配しています。また、螽斯(きりぎりす)・蟷螂(かまきり)・蜘蛛(くも)の巣などの秋草にすだく虫たちをも描き込み、側面にも秋草に兎や鳥をあらわしています。総体を淡い梨子地とし、図様は主に金研出蒔絵で、土坡(どは)は蒔暈(まきぼかし)、鹿や岩は淡蒔(うすまき)としています。

【徳川光友(尾張家2代)所用 鎌倉時代 13-14世紀】