徳川美術館 English Korea/China
企画展案内 / Exhibition

平成22年(2010年) 企画展 / Exhibition

平成22年7月31日(土)〜9月26日(日)【名古屋開府400年 徳川美術館・蓬左文庫開館75周年記念 特別展】大名古屋城展

企画展の詳しい解説

 徳川家康による名古屋築城は、慶長15年(1610)閏二月に西国・北国大名二十家を動員する天下普請で開始されて、今年でちょうど四百年の節目を迎えます。本丸・二之丸など主要部を総石垣造りとし、鉄壁な防御を施した名古屋城は、慶長17年(1612)末頃に天守が竣工し、同19年末には一応の完成をみました。

 この展覧会では、現在に残された名古屋城ゆかりの作品や、様々な史料を通して城の歴史・構造・機能を紹介します。はじめに蓬左文庫展示室では、清須から名古屋への移転(清須越)と、築城の歴史・城下の発展についての展示を行います。清須城の遺構とされる旧本丸御殿黒木書院の障壁画(重文)、幕府の大工棟梁・中井家に伝わった設計図、今回の展覧会を機に再発見された設計図や旧天守の部材などの初公開史料を基に、空前の大工事だった築城の軌跡をたどります。

 次に徳川美術館本館展示室では、旧本丸御殿障壁画(重文)や二之丸御殿の遺物を通じて絢爛豪華な御殿空間の彩りを紹介します。本丸御殿が徳川将軍専用の宿館とされたため、二之丸御殿が尾張徳川家の政庁であり、当主の居館でした。しかし、二之丸御殿は明治初年に取り壊されたため、細部の構造については不明でしたが、近年ゆかりの品々が発見されたことで、断片的ながら実態が明らかになってきました。詳細な記録の残る本丸御殿と共に、これまで紹介されることが少なかった二之丸御殿についても、最新の研究成果を基に紹介します。

 御殿空間に付随する庭園もまた、城の機能を考える上で重要な空間です。一部が保存されている二之丸御庭をはじめ、城北に展開した広大な下御深井御庭、城下に設けられた別邸の御下屋敷・大曽根屋敷などは、尾張徳川家当主の饗応・遊興空間として機能しました。3メートル以上もある巨大な二之丸庭園図や、庭内にあった儒教祭祀施設・御文庫ゆかりの品々や、庭内で製造された御庭焼などを通して、庭園の機能を紹介します。

 なお、名古屋城内は、尾張徳川家の政庁であると同時に、徳川家康の遺品をはじめとする尾張徳川家の什宝を保管する施設でもありました。江戸時代を通じて城内に保管され、現在でも徳川美術館に引き継がれている名品について、特に大切な品とされた「御清御長持」に入れられた家康遺品を中心に、その一部を展示します。

 名古屋城を語る上で特色の一つに挙げられるのが、幕末に撮影された古写真が数多く残る点です。特筆すべきは、舶来の新技術をいち早く研究した尾張徳川家十四代慶勝は、名古屋や江戸などで積極的に撮影を行いました。当主しか立ち入ることが出来なかった御殿の奥などを、まだ城が機能していた幕末に撮影した写真は、他の城郭では見られない大変貴重な記録です。今回の展覧会では、慶勝自身が記した現像実験の記録をはじめ、ガラス写真原板など、写真史上重要な史料を特別に公開し、ありし日の名古屋城の姿を御覧いただきます。

 「天下様でもかなわぬ」と謳われ、名古屋市民の誇りとされた天下の名城の美と変遷を、開府四百年の節目に是非ご観覧ください。

【主任学芸員 原史彦】

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